オートキャド(AutoCAD)を効率よく動かす上で、初期設定は非常に重要な項目と言えます。
車のレースで言えば「セッティング」と呼ばれる部分ですね。

レース本番の前には、そのサーキットで出来る限り速く走る為に、何度もテスト走行をしてセッティングを繰り返します。

そうして細かいセッティングをすることにより、レース本番で最高のポテンシャルを発揮することを目指す訳です。

オートキャド(AutoCAD)を使って図面を書く仕事は、実際そこまでシビアな世界ではありませんが……
それでも、最初にやっておく設定が後々まで影響していく、という設定の考え方は同じです。

初期設定の重要性はそこにあるんです。

■最初の設定がベストなのか
もう少しレーシングカーの例えを続けると……
サーキットで誰よりも速く走る為には、やはり特殊な状態の車が必要になってきます。

それがレーシングカーである訳ですが、それは少なくとも、一般的に販売されている車ではありません。
もちろん市販車をレースで使う場合もありますが、それでも販売されている状態のままとはあり得ません。

「速く走る」という目的を持って、その車を改造してようやく勝負をすることが出来るということ。
もっと偏った書き方をすると、「速く走る為の設定」をしてようやく勝負になる、ということです。

単純にサーキットを速く走るという目的だけで言えば、市販されている状態がベストではない訳ですね。
ちょっと強引かも知れませんが、オートキャド(AutoCAD)にも同じ用な話が言えるんです。

ソフトをインストールしただけの初期状態というのは、効率よく図面を書く為のベストの設定ではありません。

そこを少しずつ自分のやりやすいように変えていくのが、オートキャド(AutoCAD)の初期設定ということです。

■一般的な設定が選ばれる
車というのは、一般の消費者向けに販売されるものは「バランスの良さ」が重要視されます。
速く走るだけで乗り心地が悪い車とか、燃費が極端に悪い車とか、そういう問題のある車は売れません。

だから最初から販売すらされない。

そこそこスピードが出て、乗り心地も良く、運転していて疲れないシートで、なおかつ燃費も良い。

そんな車が売れる訳ですから、その状態でサーキットに持っていっても勝負することが出来ないのは当たり前です。

オートキャド(AutoCAD)の場合も、最初の設定はごくごく一般的な設定が用意されているだけです。

何も「最高に効率の良い作業環境」が考え尽くされたものではなく、「誰でも分かりやすい状態」を一番に考えています。

私がオートキャド(AutoCAD)を開発している訳ではないので、断言することは出来ませんが……
でも、少なくとも私がオートキャド(AutoCAD)を開発・販売するのならそうします。

分かりやすさというのは非常に重要な要素ですから。
しかしオートキャド(AutoCAD)のプロとして、ソフトに求めたいのは分かりやすさではありません。

多少分かりにくくても良いので、出来るだけ効率の良い操作環境。これを求めている訳です。
これは分かりやすさとは方向性が違うので、初期設定でそういう状態になっていないのも当然ですよね。

でも、オートキャド(AutoCAD)は親切にも、色々な設定を変えることが出来るようにつくられています。

だから、分かりやすさを重視した初期設定から、効率の良さを重視した作業環境に変えていく。
これが重要になってくる、ということです。

次回から、具体的に初期設定を色々と変更するシステム変数を紹介していきますので、一度実際に試してみることをお勧めします。