オートキャド(AutoCAD)を使って図面を書く際には、一度引いた線を延ばす作業をよく行います。
逆に、一度引いた線を切り取ったりも多いです。
基本的な話ですが、線の伸ばすこまんどが「EXTEND」で切り取るコマンドが「TRIM」になります。
これらのコマンドを実行する際には、オートキャド(AutoCAD)上で以下のような手順を踏んでいきます。
1.ここまで伸ばす、又はここで切り取るという境界線を選択
2.切り取る側の線を選択
この順番はCADの種類によって違ってきますから、逆の手順の方がしっくりとくる、という方もいると思います。
が、この順番はさすがにシステム変数でも変更は出来ませんので、諦めて慣れてもらうしかありません。
そうではなく、今回紹介したいのは、上記手順の1で選択する線の扱いをコントロールするシステム変数です。
もう少し具体的に言うと……
1で選択した境界線を、現在の線のまま認識させるか、もしくはどこまでも伸ばした形状として認識させるか。
かなり分かりにくい気もしますが、今回紹介するシステム変数はそんな設定をするものです。
■システム変数:EDGEMODE
このシステム変数は、EXTENDコマンドとTRIMコマンドで選択する境界線をどのように認識するかをコントロールします。
EDGEMODEには0と1の数値いずれかが入るようになっていて、それぞれの設定は以下の通りです。
0:選択した境界線をそのままの形状で認識する
1:選択した境界線を延長した形状で認識する
オートキャド(AutoCAD)の初期設定は「0」ですが、使い勝手を考慮して私は「1」をお勧めします。
でもその前に「0」と「1」の違いを説明しておきましょう。
例えば下図のような状況で、垂直に引いてある線を斜めに引いた線まで延ばしたいとします。
その場合はEXTENDコマンドを使う事になる訳ですが、システム変数EDGEMODEによってこんな違いが出ます。
EDGEMODE=0だと1と2の線は延長することが出来るけれど、3の線は延長することが出来ない。
EDGEMODE=1に設定を変えると、1から3までの線を全部延長することが出来る。
この違い分かりますよね。
1と2の線を延長すると境界線にぶつかりますが、3の線だけは延長しても境界線にはぶつからない、という違いです。
オートキャド(AutoCAD)の初期設定では、境界線にぶつかる関係にある線だけを延長する仕様になっています。
しかし実際にオートキャド(AutoCAD)を操作してみれば分かりますが、ぶつからない線でも伸ばしたい場合が結構あります。
だから、システム変数EDGEMODEを変更しておいた方が、作図がスムーズに進むはず。
設定を変更してEXTENDコマンドを実行すると、上図の場合は以下のような結果になります。
「選択した境界線を延長した形状で認識する」という設定が、これでよく分かると思いますが、いかがでしょうか。
境界線を無限の長さを持った線として認識してくれるので、EXTENDとTRIMの使い勝手が良くなります。
また、延長してくれる境界線はなにも直線だけではなく円弧でもOKで、その場合は延長されて円形の境界線として認識されます。
あまり円弧を延長の基準線とする機会はないかも知れませんが、知識として覚えておくと助かる場合もあるはず。
これは図面毎ではなく、オートキャド(AutoCAD)全体で持っている設定ですから、一度変更をするだけで大丈夫。
設定としては地味ですが、使用頻度の高いコマンドの使い勝手が少し良くなりますから、一度試してみることをお勧めします。