オートキャド(AutoCAD)を操作する上で、既に作図したオブジェクトを選択する機会はたくさんあります。

全部新規に作図をするのではなく、既に作図したものを有効に利用していく、というのがCADのメリット。
そのメリットを有効に生かす為には、既に作図したものを選択する、という操作を数多く行う必要があります。

だから、オブジェクトの選択というのは、オートキャド(AutoCAD)を操作する上で非常に重要な要素なんですね。

今回はそんな話を踏まえて、オブジェクトを選択する順番をコントロールするシステム変数を紹介します。

■システム変数:PICKFIRST
このシステム変数は、オブジェクトの選択をコマンド実行の先にするか、あるいは後にするかをコントロールします。

このシステム変数には「0」か「1」が入り、オートキャド(AutoCAD)の初期設定は「1」です。

0……コマンドを実行してからオブジェクトを選択
1……コマンドを実行する前にオブジェクトを選択

初期設定の「1」は、厳密にはコマンドを実行する前でも後でも、どちらでもOKという設定です。
オブジェクトを選択している状態でコマンドを実行すれば、そのままそのコマンドが実行されます。

でも、何も選択していない状態でコマンドを実行すると、後からオブジェクトを選択することが可能。

でもこの設定を「0」にすると、オブジェクトを選択している状態でコマンドを実行しても、選択は全部キャンセルされます。

どちらが良いのか?
という話は後でじっくりとすることにして、ここでは具体的な設定の方法を説明しておきます。

■設定の変更方法とその後
オートキャド(AutoCAD)がコマンド待ちの状態で「PICKFIRST」と入力して「Enter」を押します。

PICKFIRST の新しい値を入力 <1>:

そうすると上記のような表示が出ますので、ここで「0」か「1」を入力して「Enter」を押せば設定完了です。

ちなみにここで気を付けておきたい点を少しだけ。

このシステム変数「PICKFIRST」による設定は、オートキャド(AutoCAD)を操作する基本パターンを変えるものです。

どちらのやり方が便利なのかを、自分なりにじっくりと考えてから設定することをお勧めします。

そしてその結果、設定を変えてみるというのも良いと思いますし、今までの方が便利だと思って変えないのもアリだと思います。

いずれの結果になったとしても「どちらのやり方がより便利で効率が良いのか」を自分で考える、というのが重要ですから。

ただし……

この操作を変えてすぐの場合、オートキャド(AutoCAD)を操作をする本人が全然その設定に慣れていません。

だから当然の結果として、設定を変えてすぐだと操作が慣れず、操作にもたつくシーンが発生するはずです。

せっかく便利だと思って設定を変えたのに、今までよりもオートキャド(AutoCAD)の操作が遅くなった。

そう思うかも知れませんけど、それはただ単に、まだ操作に慣れていないだけの話です。
操作が速くなったのか結局は遅くなったのかは、もう少し操作に慣れてから判断してみることをお勧めします。

そうしないと、結局どんなに便利な設定であっても「慣れていないから今までの操作が速い」ということになるだけです。

そう頭から決めつけてしまうと、新しい機能とかより便利な操作方法とかに無関心になってしまいます。
「結局は今までの操作が一番だから」って。

そうなると、オートキャド(AutoCAD)を操作する技術者として、進歩が全然なくなる。

オートキャド(AutoCAD)も進化しているし、マウスなどの道具も進化しているのに、作図者が進化していかない。

これではプロとして困るので、一度考えて試してみた設定は、しばらくの間使ってみることをお勧めします。
もちろん、使ってみてすぐに「全然ダメだこれ……」ってなるような設定は別ですけども。